社外ロケットカウルのつけ方

カスタム関連

当店のバイクのDUCATI SPORT1000はもともとネイキッドバイクですが、社外品のロケットカウルを装着しています。
その取り付け方に今までたくさんのお問い合わせがありましたので遂に投稿します。

この方法はホームセンターにある材料で作り、溶接は一切使用しません。
アルミニウムの厚板を切ったり穴を空けたり、ボルトをカットすることになります。
最近では街に一つはあるような職人さん向けホームセンターの加工室で色々できるようです。
電動工具の取り扱いができるなら、ガレージが無くてもできるかもしれません。

かなりDIYを駆使していきますので、どのバイクにも応用できます。
ご覧いただく方のバイクがDUCATIでなくても参考になりますので是非チャレンジしてください。

 

 ロケットカウルのベース品

このバイクで使用しているのはペイトンプレイス製のハーフカウルキットです。

10年程前にW650用を購入し、フレームにマウントするステーを作って装着しました。
現在(2021年9月)、SR400用の製品を見たら既にフレームマウントできるようにステーの形状が変わっていました。

現行型が手元に無いので流用方法は予測になってしまいます。
問題は右上の画像にある○で囲った部分にあるU字形状のステー(ボルト)です。

これはフレームのネックの部分に通して、カウルステーを車体と繋ぐために使用します。
U字ボルトにはガソリンホースを挿入し、フレームに傷が入らないようにしています。
このバイクDUCATI SPORT1000にはU字の大きさが75mmのボルトを使用してピッタリなくらいです。

新型カウルステーのU字の部分はSR用なので、これよりもU字ボルトは小さいはずです。
今現在入手できる新型カウルステーを使用するにはU字ボルトを付属品よりも大きいものに交換する必要があります。
実際に手元に無いので方法論だけになりますが、カウルステーのU字ボルトの刺さる部分のステーに広いアルミ板をボルト止めし、穴をあけて大きいU字ボルトを装着する必要があると思います。
(不親切な案内になってしまい、すいません…)

自作ステーを作る場合の寸法

もしイチからステーを自作する場合に備えて当方の作成したステーの画像を載せます。
ご参考ください。

 

これらのステーや金具を駆使することで様々なバイクにロケットカウルを装着することができます。
ポイントは、フレームのネック(ステアリングシャフトの入る部分でフレーム打刻のある所)にU字ボルトを使うこと。
U字ボルトにはガソリンホースを挿入して、フレームへの傷とカウルに伝わる振動を軽減し、フレーム打刻が振動と擦れで消えてしまうのを防ぎます。

また、アルミステーにアイボルトの装着できる穴を4か所設けることで、カウルの上下方向の傾きを現車に合わせて調整できます。

車体によってはフレームネックの後ろにU字ボルトを通す穴やスペースが無いとこの方法は使えません。
ある程度の参考になれば幸いです。

どうぞご活用ください。

カウルが無い状態のステーの画像

 

 

ハンドルを切った時にステーのボルト(赤○)とフロントフォーク(黄○)が当たることがあります。
ステーへの穴あけ位置を決めるときは現物確認しながら行いましょう。
ハンドル高さやカスタムの状態によってはカウルステーのミラー取り付け部とブレーキマスターシリンダの部品が干渉します。ブレーキマスターシリンダ側の形状を変更するか、カウルの上下角度を調整して回避します。


長ナットの部分全体のボルトの長さを調整することでカウルステーの上下方向の傾きを調整できます。

 

新型ロケットカウルステーを使用するときの課題解決

新型カウルステーを装着するときに問題になりそうな点を考察してみます。
対象はDUCATI SPORT1000ですが、その他のバイクでも当てはまりそうな件なので参考にしてください。

①U字ボルトステーが合わない
冒頭にも触れましたがフレームネックの太さとU字ボルトの大きさが合わないはずです。
U字ボルトはホームセンターで購入できますが、それがカウルステーに装着する穴と合わない結末になるでしょう。

②カウルステー全体が手前に寄りすぎて諸々の部品とヒットする
先ほど紹介した自作ステーでは、カウルステーとフレームの隙間をかなり多く空けています。
これだけやって初めてハンドルが切れたり色々な部品と当たらなくて済んでいます。
であればU字ボルトから先の部分を長く伸ばす必要があります。

とりあえずはカウルステー側のU字ボルトの入る穴の部分を広くするために、追加プレートをカウルステー側に装着する必要があると思います。
さらにU字ボルトを長ナットで長継ぎして長く伸ばす。
U字ボルトは平プレートでフレームと固定する。

これで解決しそうですが、今度はU字ボルトの固定が甘くカウルの振動が大きくなる問題が発生します。
現在の自作カウルではそういった状態なので実際には大きな問題にはならないかもしれません。
また、あまりにも高剛性な装着をするとカウルステーにかかる振動がダイレクトになってダメージが入る可能性があるので難しいところです。

やはり現物と合わせて走行テストしないと何とも言えないところです。

メーターと気温センサーとホーンの行き先

純正状態では、ヘッドライトステーにメーターと気温センサーとホーンが装着されています。
ロケットカウルを装着するには前ヘッドライトステーを取り外す必要があるので、それらの行先を確保する必要があります。

ホーンはエンジンにL字ステーを使用して装着しました。
ステーはある程度の厚みがあるので折れずに済んでいます。
ホーンに伝わる振動と熱で壊れるのでは?の心配はありましたが数万km走っても問題ありません。
純正ではダブルホーンですが、必要ないので片方だけにしています。
アンダーブラケット(三又)のボルト穴を利用して装着していた時期もありましたが、ブレーキをかけるとフロントフェンダーに当たって傷になるのでやめました。

気温センサーです。純正ではヘッドライトステーについていますが、エンジンの前&配線が届く範囲なら移動しても性能に大差ありません。
装着方法はブレーキホースもしくはフレームにタイラップ固定したりです。
邪魔になるとどんどん追いやられています。
重量が軽いので、収まりが良ければ特に振動対策することなくタイラップ固定で問題ありませんでした。

大問題はメーターです…

メーターステーを作る


純正ではヘッドライトステー自体を車体にダンパーマウントして振動を逃がし、そのステーにメーターを直接リジットマウントしています。
リジットマウントなのでメーター二点ボルト固定でもしっかりしていますし、ヘッドライトステー全体は4点がしっかりとしたダンパーで固定されているのでメーターに振動が加わることがありません。

しかし、ロケットカウルにするにはメーターを固定するステーを自作しなければなりません。
当初はトップブリッジに簡単なホームセンターステーをつけてメーターを固定していましたが、それでは振動が余りにも多くメーターに伝わってしまいます。
走行中に針がブレブレで、そのおかげで何度もメーターが故障しました。

そして現在の形に至ります。

厚さ8mmのジュラルミン(アルミ)プレートを切り出し、当時勤めていたバイクショップに転がっていたジャンクパーツを組み合わせて作りました。(バッテリー電圧メーターをつけていますがカウルとは関係無いので気にしないでください)
同じ部品は手に入らないので例によってご参考程度にしてください。
おそらく、厚さ5mmのアルミプレートでも耐えると思います。

一番大事なのがメーターを3点でダンパーマウントして振動を吸収しつつ、ステーにしっかり固定することです。

ダンパーの高さ(メーターの装着時の高さ)は今回高めにしていますが、これも現物に合わせて各部品と干渉しない程度に設定してください。
ダンパーの硬さは3点止めであればそれほど気にする必要は無く、柔らかめのものをチョイスすると良いでしょう。
とはいえ、ホームセンター調達だとそれほど選べる幅は無さそうです。
家具の滑り止めやスポンジ板を揃えているコーナーに大抵あります。

メーターを分解し、ダンパーを裏側メーターカバーに装着する

当方のメーターはモンスター用を流用しています。
SPORT1000のメーターは形状こそ似ていますがメーカー(サプライヤー)が違うので分解手順は多少違います。
補足を入れつつ分解手順を説明していきます。

細いプラスドライバーを使用し、メーターの裏側にあるボルトを外していきます。
モンスターのメーターは下部のセンターに一か所のみ。
SPORT用メーターは背面全体に数か所ビスがあるので全て外します。
ビスが抜けないことがありますが、完全に緩んで空回りしているようになれば無理に外さなくても大丈夫です。
締めるときにネジ穴をなめることがあるので締め付け具合には気を付けてください。

インジケーターを覆うカバーが外れます。
モンスターの場合はネジが1本カバーの下にあるので、10mmトルクスのドライバーを使って緩めます。
これで表側メーターカバーが外れますが、防水パッキンがはまっているので少し硬いです。
無理をしないよう表側カバーを慎重に外しますが、あまりに硬いようなら緩め忘れているスクリューが無いかもう一度確認しましょう。
SPORT1000のカバーは必ず内部で合わせ面のプラスチックが割れています。
多少は仕方ないので破片を無くしたり破損を拡大させないように気をつけましょう。

メーターカバーとメーター本体との固定スクリューが全て外せたらカバーとメーター本体を分離します。
モンスターの場合はパッキンがしっかりとはまっています。
パッキンを全体に均等に引っ張って慎重にメーター本体を外します。

裏側メーターカバーの、メーター配線の刺さるコネクターの穴の上辺りでボルト穴を空け、ダンパー装着用ボルトを装着します。
穴を空けるときに電動ドリルを使うと勢いでカバーを破損しそうです。
はんだごてで溶かして穴を空けるか、プラスチックなのでドリルの歯を手で回して穴あけするのが安全です。
穴の大きさは使用するダンパーによって決めてください。
だだ、メーター本体とボルトの頭が干渉しないようにできるだけ頭の低い「低頭ビス」を使用した方が良いです。
ボルトには大きめのワッシャーを使用し、プラスチック部にかかる負担を分散させます。
ワッシャーがメーターカバーの柱の部分と干渉するのでワッシャーを削って形状合わせしましょう。

実際にやってみて、ボルトやナットとメーター本体が干渉しなさそうならダンパーの留め方やボルトの選定は自由です。
要はメーターにステーをダンパー経由で装着できればオールOKです。

なかなか難しい作業ですが、これだけすればメーターの3点ダンパー固定が実現します。

 

ロケットカウルの加工

ロケットカウル自体の形状も加工する必要があります。
ハンドルを切った時にフロントフォークとカウルが当たってしまうので、赤丸で囲った部分をサンダーでガッツリ削り落としていきます。
近隣への粉塵や騒音がありますので作業の際は気を付けてください。
カウルは傷だらけになるので塗装前に加工しましょう。
先にステーを完成させてから、加工前のカウルを装着して当たる部分を削っていくことをお勧めします。

カウルの後半部分にスポンジを貼り付け、4mm程度のボルト穴を空けます。
スポンジは、タンクとカウルが接触して傷が入ってしまうのことへ予防策です。

三角形状のフックがホームセンターの家具コーナーにありますので利用します。
これをカウルに空けたボルト穴に装着し、フレームとの間にタイラップで繋ぎます。
ボルト穴の位置は先ほどの写真の雰囲気を参考に。多少位置がずれてもタイラップを使用するのでmm単位で気にする必要はありません。

タイラップマウントなら整備性も良く、振動吸収や耐久性に優れています。
フレーム側に加工する必要が無いのでお勧めです。
カウル後端とフレームを引っ張るように繋ぐことでカウル全体の振動を劇的に減らすことができます。
また、いくらカウルステーを正確に取りつけても、カウルの後ろの方の角度に誤差が出て仕上がりが悪くなります。
それを、後端部で引っ張ることで取り付けバランスを最終調整することができます。

 

ウィンカーの装着

ウィンカーはキジマ製のクラシックタイプのものをチョイスしています。
これはウィンカーの取り付け穴に合わせてカウルに穴を空けて装着するだけです。
ただ、ノーマルよりもワット数が低くなるのでウィンカーの点滅がハイフラッシャー(早く)なることがあります。
実際に使用してみて、点滅速度に問題があればバルブのワット数を大きくするか、LEDウィンカー用の抵抗器(レジスター)を装着しましょう。
転倒時にはレンズが割れますが、これがまた安いのです。

純正のウィンカーコネクターはカットしてギボシに変更しています。
思い切りが大事ですね。
ノーマルのネイキッド状態に戻すときのために本来のコネクターはノーマルウィンカーと一緒に保管しておきましょう。
そのコネクターにギボシを装着しておけばいつでも戻すことができます。
わざわざノーマル戻しするときのことを考えておく理由は後に説明します。

ミラーを装着する

ミラーにはナポレオンタイプを使用しています。
そのままではレンズがあさってを向いてしまうので画像を参考に取り付け部分の加工をしてください。
実はこのデザインのミラー、一部のホームセンターではプラスチック製のコピー品が出回っています。
重量も軽くなるし安価で性能的にも遜色ありません。
運よく見つけたら是非お試しください。

ミラーはご自身の世界観に合わせてチョイスするのが良いでしょう。
ここまでの工程までDIYができていれば何でも加工して装着できるようになっていますよ。

ロケットカウル仕様のメリットとデメリット !注意点

これまでなかなか大変な作業でした。

SPORT1000を購入してすぐに「これはロケットカウルつけるべきだろ!」と思いついて10年前に試行錯誤で装着しました。
それから色々な問題がありそのたびに改良。それを繰り返し今に至ります。
ノーマルはハンドルの前にヘッドライトがあるだけなので確実に重量が増します。
しかもフロントタイヤ付近まで重量物が伸びるのでハンドリングは劇的に変わります。
メリットは、ノーマルよりもかなり安定志向になり、直線で安定しコーナーでは落ち着いた挙動に。
フロントタイヤに荷重が乗るので安心して乗ることができ空力も向上。体に当たる風が減り体感速度が減って楽になります。

デメリットは、ハンドリングが重くなるのでノーマルの俊敏さがスポイルされることですが、それは安定志向と機敏さのバランスになります。
また、最高速近辺や高速道路メインの走行をするとヘッドライトへの振動が増えてヘッドライトバルブへの負担が増加。
ヘッドライトバルブのコネクターがショートして溶けてしまうことが10年間に1回ありました。
そのほか、メーターへの振動はどうしても増すので故障リスクは高まります。
メーターへの振動が過度になると、針を動かす部分のモーターのギアがすり減ってしまい走行中に速度や回転数を正しく示すことができなくなり、最悪の場合は針が動かなくなります。
部品取りメーターがあれば分解してモーターのみを交換して修理することができます。
そのモーターはスポーツクラシックシリーズ以外のメーターとの互換性はありません。
現実的にはメーターを用意できないことの方が多いので、いったんダメージが入ってしまったメーターを直すのは困難です。
(そこで当方のメーターはたまたま新品で手に入ったモンスター用になっています。)

あと、これが一番大事なのですが車検に合格しません!

U字ボルトを使用することでフレーム番号の打刻が隠れてしまい車検場で検査員が確認できなくなってしまいます。
保安基準的にはそれ以外は問題なく、危険度も無いカスタムですがそれが問題です。(倫理的には悪くないのですが…)
残念ながら車検の度にロケットカウルを全て外して元の仕様に戻して受験する必要があります。

それでも!というかたは是非参考にしてチャレンジしてください。

コンプリート作成依頼お受けします!

上記デメリットへのご理解を頂ける方には当店へのカウルステー作成orロケットカウル仕様コンプリート車の作成依頼をお受けします。

材料費は実費近辺の計算になりますのでその都度お見積り致します。
作業工賃は、車体持ち込みとカウルのみ加工で異なります。
カスタム状況やご要望により作業が異なってきますので、この記事では明確な金額の提示は避けますが、
目安として基本工賃は税抜き25,000円~。そこから所要日数や作業項目の量で加算していくことになります。
当初提示したお見積り金額が、完成するまでの間に高くなってしまう事態をさける為、見積作業にお時間を頂戴します。
高額作業になるのでお見積りだけのキャンセルは致し方ありません。

その分、いったん部品を仕入れたり着工した後は止めることはできませんのでご了承ください。

 

ご希望の方は是非当店公式LINEまでご相談ください!
もしくは070-4084-1485までお電話ください!

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カウル装着のご要望は全国の方からお問い合わせがあります。
ご自身のかかりつけショップでの加工の場合、他のバイク屋さんが当記事を参考に作業して頂ければ光栄です。
同業者の方からのご質問もお気軽にどうぞ。

そのほか、当記事で不明な点がある場合や更に知りたいことがある場合、モンスター用メータの流用の仕方など詳しく知りたい方もお気軽にLINEもしくは当ブログの問い合わせページからご連絡ください。
また、あなたのノウハウやアイディアを当方まで教えていただけると非常に嬉しいです。
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