バイクのレギュレータの故障について

整備関連

レギュレータは消耗品です。

そして故障するとバッテリーがあがり、始動不能や走行中にエンジン停止することになる重要な部品です。

今回はレギュレータの故障原因、予防方法、診断方法を紹介します。また、ドゥカティに特化したコラムも載せますので是非とも整備にお役立て下さい。

レギュレータについての基本的な解説はこちらで紹介しています。ご参考ください。

レギュレータの故障原因

レギュレータが放熱性の悪い所にある

レギュレータは交流を直流に変換する時と、適正な充電圧に抑える時に、ボディ内の半導体で余分な電気を熱に変換しフィンから外部に放出します。
この半導体は熱に弱いので、レギュレータが放熱性の悪い所にあると熱が蓄積し寿命が縮みます。

バッテリーの端子が緩んでいる

特に➕端子ですが、緩んでいると高速走行中に端子と端子が接触と断線を繰り返します。その際にスパークプラグの原理でアークが発生し、高電圧が配線に流れレギュレータに負荷がかかりパンクします。

バッテリーを固定していない

バッテリーは重量物なので、ゴムバンド等で固定していないと路面の凹凸で揺れます。

そのまましばらく放置して乗り続けると➕➖端子の付け根に負担がかかり金属疲労で折れてしまいます。

折れかけのときには、やはり微妙な接触でアークが発生→レギュレータがパンクします。最悪の場合は配線が焼け焦げて火災に至ります。

レギュレータのカプラーの接触不良

レギュレータのカプラーやギボシをチェックすると焼けている場合があります。

これも導通不良となるので充電圧不足、あるいはレギュレータへの負担になるかも知れません。

寿命が来ている

レギュレータ内の半導体は熱を受けている時間が蓄積すると劣化します。すなわちレギュレータは消耗品なのですが、いずれの車種でもいつかは寿命が来ます。

その場合、純正品で交換すれば熱対策性能が良くなっている場合もあるし、安価な汎用品も探せばあるかも知れません。

レギュレータ各部解説と故障診断


①レギュレータ本体

動作時(エンジン稼動時)には発熱します。アイドリングでも5分程度で暖かくなるでしょう。

逆にいつまで冷たいままの場合は故障です。

稀に裏側が熱で溶けている物もあります。中古車の場合は気をつけて観察しましょう。

②プラス配線

バッテリーの➕端子に直結しており、充電圧をバッテリーに送ります。

コネクター端子が焼損している場合が多いので要チェックです。

極端な荷重電圧が発生した場合の各部へのダメージを抑えるために30〜40Aのヒューズが間に接続されます。たまにはヒューズ端子の状態を確認しましょう。

③マイナス配線

緑もしくは黒等、色分けはメーカーにより様々ですが、レギュレータには必ずあります。

ボディアース直結の場合もあります。接続部に錆びが無いか確認しましょう。

④オルタネーター配線

オルタネーター(発電機)で発生した電流をレギュレータに送ります。
三相交流は3本、二相交流は2本配線です。

レギュレータ⇆オルタネーター間のコネクターを外し、オルタネーター側の3本配線の導通を確認しましょう。 正常な場合は3本配線全てがお互いに導通しています。 導通していない場合は異常で、オルタネーター内で断線が有りレギュレータに電気が送られていない状態です。
コネクターを外した状態で、オルタネーター側3本配線のどれか一本とアースの間にテスターを接続し、導通を確認しましょう。 導通があれば異常で、オルタネーターで発電した電流がボディに逃げる為、レギュレータに電気が送られていません。

コネクター部が焼け焦げている場合も多々あります。
充電圧が落ちる原因になるので定期的にコネクターorギボシを交換しましょう。

故障対策&充電圧を引き出す方法

先ほどの写真に対応した部位別に、レギュレータの寿命を延ばす方法と充電圧をアップする方法を紹介します。

①レギュレータ本体

風通しの良い場所に移設しましょう。たとえばエンジンの近くとかシート下等、風通しや熱のこもりやすい位置にレギュレータがあるのはよろしくありません。
移設する際は、移設前よりも各配線の長さを延長しないようにしましょう。
充電圧は、配線が長いほど減少し、配線が短いほど改善するからです。

本体と装着部の間にスペーサーを割込ませてレギュレータを少し浮かせる手もあります。
フィンの上部だけでなく本体の下部にも風を通して冷却性を高めようという案です。

他にも、レギュレータ本体⇔装着部の間にアルミ板を挟みこむと冷却効率が良くなります。

②プラス配線

レギュレータを移設するついでに、この配線をメインハーネスから切り離してバッテリーのプラス端子に直結すると充電圧が劇的に改善します。
自分のバイクで試したところ、2500rpm程回さないと最大充電圧に至らなかったところ、プラス配線をバッテリーのプラス端子に直結したらアイドリングで14.3V(これ以上上昇しない電圧)まで充電できるようになりました。
その場合、プラス配線の先端は丸端子にすることと、可能であれば配線の途中にレギュレータ用の30~40A程度のヒューズを割込ませましょう。

抵抗値を減らすため、可能な限りバッテリーに繋げる配線が短くなるようにしましょう。

コネクターを省くことで中間接続部が焼ける心配が無くなる事もメリットです。

 ③マイナス配線

メインハーネスからカットし、先端を丸端子に変更してクランクケースにアースもしくはバッテリーマイナス端子に直結しましょう。

諸々の心配事が無くなります。

 ④オルタネーター配線

一般的なオルタネーターは3相交流なので配線は3本あります。これのコネクター部が焼けている場合が多く、充電圧が下がる要因になります。

平端子よりはギボシの方が接触面積が広く、接触部に高電圧が発生し難く焼き付きにくいように思えます。少し上等で抜けにくいギボシに交換すると良いでしょう。(個人的にはエーモンが好きです)

整備性が犠牲になりますが、いっそコネクターは使わずにハンダで繋げると焼ける心配が無くなり、僅かながら充電圧がアップします。

プラス配線と同じように、配線を短くすると充電圧が改善します。
オルタネーター、バッテリー、レギュレータの三要素を可能な限り寄せるように配置し、各配線を短くすることで充電圧を最大限に引き出すことができるようになります。

ドゥカティの注意点と裏ワザ

1098と1198、848ではレギュレータがエキゾーストパイプの灼熱とオイルクーラーの熱風を受ける位置にあります。

高速走行メインならまだしも、真夏に乗ったり街中を走行すると、あっという間にレギュレータがパンクしてバッテリーが上がり、ガソリンスタンドで給油したらエンジンがかからなくなったとか、走行中に止まったという例は後を断ちません。
さらに熱が弱点のリチウムイオンバッテリーを装着すると必ずバッテリーがダメになってしまいます。

対処方法は、バッテリーケースが熱くならないように入念に遮熱対策をすることです。

また、かなり強引ですがパニガーレ用のレギュレータを使う手もあります。パニガーレはエンジン熱がかなり厳しいため、それに耐えうる信頼性のあるレギュレータが装着されています。

もちろんコネクターやレギュレータの取り付けボルトピッチの互換は全くありません。それでも装着する腕があればやる価値はあります。
ちなみにパニガーレのレギュレータの容量は、三相交流であれば全車種をカバーできます。

私自身、愛車のスポルト1000のレギュレータが一年に一回ペースでパンクしてしまい悩んでいたところ、パニガーレ用を使用したら全くパンクしないようになりました。

レギュレータの種類ですが、916やキャブレター車は二相交流です。
それ以降の車種は全て三相交流です。
三相交流用レギュレータは3つに大別でき、パニガーレ用、ディアベル世代以降用、それ以外用に分かれます。
それぞれは配線の長さやコネクター形状、取り付けボルトピッチに違いがあります。
性能はどれも流用性があるので、その気になればどれも使用できます。

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