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リチウムイオンバッテリーのメリット デメリット

2021/09/22
 
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バイク整備士歴13年。 これまでの知識と経験、ノウハウを読者の皆様に公開しています。 バイクに関してお困りの方に少しでもお役に立てれば幸いです。 ぜひプロフィール欄もご覧ください!
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最近、リチウムイオンバッテリーの開発に貢献した方がノーベル賞を受賞されましたね。

このバッテリーはスマートフォンや電気自動車のみならず、様々なら分野で活躍しています。リチウムバッテリーは従来の鉛バッテリーに比べて圧倒的に軽量・コンパクト・ハイパワーにできるので、カスタムパーツとしてバイク用にも搭載できます。

このカスタムパーツとしてのリチウムイオンバッテリーはノーマルの鉛バッテリーに互換性があるようにラインナップされているので、あらゆるバイクに取り付けることができます。

しかし、リチウムイオンバッテリーは良い事づくめではありません。確かにパフォーマンスに優れていますが、ノーマルの鉛バッテリーと特徴があまりにも違いすぎて扱い方を間違うとダメにしてしまいます。

今回はバイク用リチウムイオンバッテリーと従来のノーマルバッテリー(鉛バッテリー)の良し悪しについて、実際に整備の現場で苦労した経験から説明します。

バッテリー上がりについて解説した記事もあります。
ご興味のある方はこちらもどうぞ!

リチウムバッテリーをお勧めできるケース

①自分でバッテリーの取り外しができる人

②軽量化したい人

③バッテリーの搭載スペースをコンパクト化したい人

④バッテリーがエンジンやマフラーなどの熱源から離れた位置にある車種

リチウムバッテリーがお勧めできないケース

①自分でバッテリーを外せない人

②何となくカスタムしたい人

③心配性な人

④バッテリーがエンジンやマフラーの近くにあって、ゆっくり走ると熱くなる車種

⑤レギュレーターが壊れやすい車種

バイク用リチウムバッテリーの良いところ

①軽量

従来の鉛バッテリーとリチウムバッテリーの重量を比べてみます。
(秤が無いのでクッションに乗せてみました)

鉛バッテリーはずっしりと沈み込ますが…

リチウムバッテリーはストンとしています。

手に持った感じですと、リチウムバッテリーは鉛バッテリーの半分以下の重さしかありません。

②コンパクト

今回比較したのは同じサイズのものですが、同じ容量のバッテリーで互換するとリチウムバッテリーはひと回りコンパクトになります。

③ハイパワー

交換すると、エンジンをかけるときに力強くスターターが回ります。

④長寿命

端子を外しておけば、半年以上放置しても電圧が落ちないのでいつでも新品のように使用できます。

⑤即満充電

簡易的な充電器を30分繋ぐだけ、もしくはエンジンをかけて走行するだけですぐに満充電にできます。

バイク用リチウムバッテリーの悪いところ

良いところは、裏を返すと悪いところにもなります。

①過酷な使用に弱い

「パワーがある」=「出力が高い」すなわち、早く電気を使い切ってしまいます。
エンジンが回っているときは常に電力が補給されているので良いのですが、問題はエンジンを始動するとき。
エンジンの始動が上手くいかず、スターターを長い時間回すと鉛バッテリーよりリチウムイオンバッテリーの方が寿命へのダメージが残りやすいです。

②放置に弱い

車体と繋がっていなければバッテリー上がりしにくいのですが、車体の接続端子に繋げたままの状態だと比較的早くバッテリー上がりします。
バッテリーは、配線が繋がっている状態だと常に微弱電力を消費しますが、高出力がウリのリチウムバッテリーの場合、それが裏目になり早期に電力を使い切ってしまいます。

③熱に弱い

エンジンやマフラーの近くにリチウムイオンバッテリーを装着して高温に晒されると早く寿命が来てしまいます。

④充電方法を間違えると危険

リチウムバッテリーは鉛バッテリーより低電圧&短時間で満充電にできる反面、
高電圧&長時間の充電をすると容量オーバーとなり故障・使用不能になります。
さら無理やり充電すると、餅のようにパンパンに膨らみ破裂する可能性があります。

 リチウムバッテリーを使用するときのポイント

熱から保護する

リチウムイオンバッテリーは熱に弱いです。バッテリーの搭載位置がエンジンに近く熱が心配な場合は、バッテリー本体とバッテリーを収めるケースに遮熱用のシートを貼り付けるなどして熱対策をしましょう。

 ②強い充電器は使用しない

リチウムイオンバッテリーは普段からエンジンをかけていれば充電の必要はありません。
放置するなどしてエンジンがかかりにくくなったり、電圧が12V台になったら充電器を使用しましょう。

経験則では、リチウムバッテリーは14.5V以上の電圧をかけるとダメージが入りやすくなります。

充電器は、バッテリーが上がったときに高電流を流すタイプは使用せずに、バッテリー上がりを予防する機能しか持たない安価なタイプを使いましょう。

管理人の見立てで使用できそうな商品のリンクを貼ります。
未検証ですので責任は負えませんが、リチウムイオンバッテリーに適しそうな充電器をピックアップしました。

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「バッテリー上がりの充電には使用できません。」といった注意書きのある商品を選ぶのがポイント
商品説明には「つなぎっぱなしOK」とありますが、実際には満充電を示すランプが点灯したら早めに充電器とバッテリーの接続を外して下さい。
おおよそ30分で充電完了するかと思います。リチウムイオンバッテリーは繊細なので、くれぐれも過充電に注意して取り扱うのがベターです。

サルフェーション回復機能のある充電器は絶対に使用してはいけません!

 ③スターターを回しすぎない

エンジンがかからないからといって、スターターを延々と回し続けるとすぐにダメージが入ります。

スターターを5秒回したら、一旦キーをOFFにして30秒は待ってから再び回しましょう。

④真冬は特に性能が落ちやすい

バッテリーが氷点下近くまで冷えると、鉛バッテリーよりも力が落ちる傾向にあります。可能であればバイクを屋内保管しましょう。

⑤二週間以上乗らないならマイナス端子を外しておく

ハイパワーなリチウムイオンバッテリーは放置中の暗電流もジャンジャン流します。電装系の少ない古いバイクでも漏電があれば鉛バッテリーよりも早く上がってしまうので、自分でバッテリーと車体の接続を外せる程度の工具とスキルは必須です。

⑥絶対にブースターをかけない

ガソリンスタンドなどにある充電器には16V以上の高電圧を流して一気にスターターを回せる「ブースター」の機能があります。

このブースターを使用して14.5V以上の電圧をかけるとリチウムバッテリーは壊れてしまいます。

⑦バッテリーが走行中にグラつかないように固定する

リチウムバッテリーはコンパクトなので疎かにしがちですが、車体への固定はしっかり行います。走行中にバッテリーが揺れると接続端子が疲労して折れたり、ボルトが緩んでしまいます。

⑧エンジン稼動中の充電圧が把握できるように電圧計を装着する

「レギュレーター」というエンジンからバッテリーへの充電をする部品がありますが、これが壊れると異常な電圧がエンジンからバッテリーに送られます。

鉛バッテリーなら多少は耐えますが、リチウムバッテリーは過敏に反応して故障に繋がります。走行中は出来るだけ充電圧に気を配り、異常があれば即エンジン停止しましょう。

私は電圧計をバッテリー直結で取り付けています。使用するときはスイッチON/OFFする手間はありますが誤差が少なくて済む上にキーON前の電圧が判り便利です。

ちなみにリチウムイオンバッテリーを装着すると充電電圧が少し下がる傾向にあります。

⑨任意保険がロードサービスに加入しているか確認しておく

リチウムイオンバッテリーの寿命は予兆無しにいきなり来ます。いざという時のために保険を用意しておきましょう。

 

おすすめのリチウムイオンバッテリー

これといっておすすめブランドの商品はありません。

今回はアリアントというブランドのバッテリーを写真に使用しましたが、リチウムイオンバッテリーはまだまだ過渡期の製品です。
さまざまな国・メーカー・価格帯で販売されていますが、どの商品が安心という確証はありません。(鉛バッテリーならユアサorフルカワなら間違い無いのですが…)

通販サイトでの評価を基準にするのも手ではありますが、間違った扱い方をしたりバイクとの相性が悪いと良品であっても早期に故障することもあるので参考にし難いと思います。

しいていえば、馴染みのバイク屋さんで取り扱っていたり、保障や取扱い説明がしっかりしている商品を選ぶのが無難かと思います。

最後に

さんざん怖がらせるような記事になってしまいましたが、取扱いを心得てバイクとのマッチングが良ければリチウムイオンバッテリーは良いことずくめです。
バイクは100点以上の部品から構成されていますが、従来の鉛バッテリーはかなりの重量とスペースを占めます。

リチウムイオンバッテリーにカスタムすると、
数キログラムもの軽量化ができ、コンパクトになったスペースにETC等の電装品を収めたり、充電器でメンテナンスをすることなく数年も性能を維持し、スターターも元気に回り、電装系の機能を強化できる。
うまく付き合えばそれだけのメリットを手に入れることのできる夢の部品なのです。

 

 

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